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家族/2001年3月20日



娘が18年暮らした我が家を巣立った。

1981年12月30日、年の瀬も押し迫ったこの日の夕刻に

誕生した。 

それから、幼稚園、小学校、中学校へと進み、高校を卒業して

我が家を巣立った。高校の3年間は、毎日私の車で通学バスの

通る国道まで運んだ。

この3年間繰り返された15分間の通勤&通学時間に娘との会

話は殆ど無かった。意識したわけでも、気まずい事が有ったわ

けでもない。聞きたいCDを放り込んで、それをただ聞いてい

た。

先週からその娘が助手席にいない。学校の事や、友達のことや、

その他諸々は家での会話で殆ど聞こえてくる。こんな通勤&通

学が3年間繰り返されて来た。助手席の空になった通勤が突然

やって来たが、数日は何も感じなかった。しかし、どうも寂し

い。大きく変わった状況が急に認識され、空気の違を感じ取っ

た気持ちが、数週間前の娘のいる空間を懐かしんでいるのだろ

う。家族は空気であり水である。その空気や水が変わると、何

か精神的に安定感が欠落した様に感じ、前の空気が、そして水

が懐かしく思える。

私がこの国東半島に戻ったその年の瀬にはこの家に同居する家

族は7人だった。そして、いつの間にか3人になった。一つ屋

根の下の家族は多い方が良い。多い方が空気が気持ちいい。